巨額の損失隠し問題を受け、来年2月にも退任する見通しを表明したオリンパスの高山修一社長は、第三者による経営改革委員会を置いて経営の透明化を図る方針を示し、再生の道筋に理解を求めた。しかし、マイケル・ウッドフォード元社長による委任状争奪戦や上場維持の行方など、経営を揺さぶる懸念要素は依然として残っている。
「第三者委の指摘を厳粛に受け止め、企業統治制度の提案すべてに対応する」。高山社長は7日の会見で表情を引き締めた。
高山社長は再発防止策として、執行役と取締役を分離して経営を管理する委員会等設置会社への移行▽社外取締役や社外監査役の増員▽代表取締役と同格の経営監視委員会の設置--などを打ち出した。いずれの体制も経営の透明化を図る狙いがあり、今回の問題の背景になった経営陣の一部の暴走や隠蔽(いんぺい)などを防ぐ統治体制の構築を目指す。
現経営陣は来年2月にも開く次の株主総会までに、こうした新たな体制のあり方を検討。改革案は外部の有識者で構成する「経営改革委員会」(人選未定)が総会前に審議し、退陣する現経営陣の提案に「お墨付き」を与える形をとる。
同社は現経営陣の退陣や経営責任の追及姿勢を鮮明にして再建を加速させたい考えだ。しかし、次期経営体制は不透明で、社長復帰を目指すウッドフォード氏による委任状争奪戦による混乱も懸念される。高山社長は「我々も(新経営陣の)案を出すことになる」とウッドフォード氏への対決姿勢を鮮明にした。
一方、同社は11年3月期連結決算で、企業買収で上乗せされたのれん代などを含む利益余剰金が、決算訂正後に約530億円減り、1170億円になる見通しも発表した。高山社長は「過去に債務超過はなかった」と強調する一方、他社との資本提携や業務提携の可能性にも言及。市場では「財務上の不安要素が浮上している可能性もある」(アナリスト)との懸念もくすぶっている。【竹地広憲】
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