2011年12月16日金曜日

林原のはがれたメッキ、ウソの上塗り30年(1)

異例の倒産劇だった。1月25日、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)が受理された岡山のバイオ企業、林原(はやしばら)。が、わずか1週間後の2月2日の債権者集会でADRでの再建を断念し、会社更生法適用への切り替えを表明した。

 今回、会社更生法を申請した中核3社は、売上高が702億円で負債総額が1318億円。債務超過は500億円以上に上る。

 1961年に急逝した父の跡を継ぎ、19歳で就任した林原健・前社長(69=写真)。経営方針は「利益の7割を不動産、3割を研究開発に投資する」というもの。不動産からの安定収入で、大企業にはできない10~20年の長期戦略の研究開発に経営資源を投下し、オンリーワンの製品を作り出すという異色の経営手法だ。

 実際、がん治療薬「インターフェロン」や人工甘味料に用いられる「トレハロース」など、世界的な製品を世に送り出してきた。戦前からの水あめ事業の利益で買い集めた不動産は膨大で、中国銀行の10%強の株を持つ筆頭株主でもある。

 今回の経営破綻の発端は、昨年11月にさかのぼる。メインバンクの中国銀行が資金繰りの厳しさを注視し、さらなる融資には経営の詳細を知りたい、と林原に説明を求めた。3~4年前から、メガバンク3行は監査の不透明性から、融資を軒並み減額。一方、中国銀行の融資額は、4年で330億円から447億円(昨年12月末)まで膨れ上がっていた。

 林原は中国銀行との話し合いの中で約30年前からの不正会計を明かしている。その間の架空の売掛金は300億円で、200億円の簿外債務も発覚した。

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