2011年11月28日月曜日

テレビ大不況「4K」は業界を救う? 原点回帰、画像に懸ける (3/3ページ)

相次ぐ撤退・縮小
 ただ、普及には課題が山積している。4K対応のコンテンツは現時点で、映画やインターネット用動画のごく一部に限られ、テレビ放送用の映像はない。
 メーカー側は「市場拡大には放送業者やネット業者との連携が必須」(大手首脳)とするが、テレビ局はやっと地デジ化を完了させたばかりで、4K化に取り組む余力はない。
 究極の高画質テレビの普及には、コンテンツの充実が欠かせない。米ディスプレイサーチの鳥居寿一アナリストは「長い目で見る必要がある」と指摘する。
 だが、家電各社に復旧を待っている時間はない。国内の過剰プレーヤーに加え、韓国メーカーとの激しい競争で、新製品は店頭に並んだそばから値下げされる。ソニーのテレビ事業は今期で8年連続、パナソニックも4年連続の赤字となる見通しだ。
 「テレビ事業を継続する意味が見いだせない」。メーカー幹部からは悲痛な声が漏れる。
 すでに日立製作所はテレビの自社生産から撤退する検討を進め、パナソニックも、工場売却や人員削減による大幅縮小の方針を固めたことが明らかになった。消費者の購買意欲を刺激する起爆剤が見つけられないままでは、「看板商品」であるテレビ事業の淘(とう)汰(た)が加速するのは必至だ。(古川有希)

0 件のコメント:

コメントを投稿